おそらく、調剤薬局ではRPA(ロボット・プロセス・オートメーション)は殆ど利用されていないのではないかと思います。
RPAについて思いっきり端折って説明すると、パソコンの画面操作をプログラムに教え込んで、人の手を介さずに操作を進めて行く手法です。RPAの最大のメリットとしては、既存の仕組みを変えずに省力化できることがあげられます。
私も業務の一部にはRPAを利用していますが、利用して感じたメリットとデメリットをあげたいと思います。
メリット:
メリットは、なんといっても人手がかからなくなることです。また、いま使っているソフトウェアそのものは改造しないで自動制御できるようになるので、業務のフローを大きく変えたり、システムの改修をせずに済むメリットもあります。課題としている内容によっては、専門知識無く自動化を成し遂げることも可能です。
デメリット:
これは、どのRPAの仕組みを使うかによって変わってきますが、ロボットに操作を教え込む必要があります。プログラムの仕組みに対する知識を要求されることもありますので、それなりのスキルが必要です。
また、ブラウザやオフィスアプリケーションなど、既存ソフトウェアの画面レイアウトに依存しますので、セキュリティアップデートなどで画面デザインやレイアウトが変更になると、期待していない動きをすることがあります。このような場合には、ロボットに操作を教えなおす必要があります。
現在の用途:
- 店舗に配置しているクラウド型レジのサーバーより、会計システムにデータを変換して取り込む作業がありますが、手作業で毎回十数ステップを操作する必要があります。データを取り込む日付の範囲指定以外は、ルーチンワークなので、日付を与えるとロボットが画面操作をし、データを変換するようにしています。(UiPathで対応)
- 店舗のアップロードしたインスタグラムの画像データを、Googleマイビジネスに取り込む操作があり、別々にアップロードを要求しようとすると手間なので、データを転送する処理をロボットが代行しています。時々画面構成が変わるので、手直しが必要になっています。(Selenium/Pythonで対応)
まとめ:
ややデメリットの方を多く書いているように見えますが、導入によって削減できる時間の多さを考えると、うまく使いこなすことでかなりの労力削減になると言えます。
これらの事を踏まえて、RPAを導入するのに適している事柄は、今のところ以下の状況が当てはまる場合ではないかと考えています。
- 人的判断を必要としない動作が多く、繰り返し実施する必要のあるルーチンワーク
- あまり重要でない業務
- 多くのシステムにまたがらない業務。
- ソフトウェアの更新があまり多くない場合。
なんでもRPAでやろうとすると、いつの間にかブラウザなどのアプリケーションがバージョンアップしその影響で動かなくなっていたり、動作ミスが続いても気づくのが遅れたりしてミッションクリティカルな状況に陥る場合があります。
特に、SNS連携などを考える場合、自動制御によるアクセスを検知してブロックするようなサービスもありますので、対策が必要になります。
可能であれば、RPAの画面制御ではなく、システム間のAPIを利用した連動プログラムを作るほうが、高い動作精度が期待できます。