電子帳簿保存法対策

2022年1月より、改正電子帳簿保存法が施行され、文書の管理方式が変更となった。

これに対して、対応策を用意し運用を定めていたところ、市場にまだ対応できるだけの用意がなされていないとの理由で、施行直前になって2年間の猶予期間が設けられることとなった。

なお、今回の改正の要点としては、以下の通り:

  1. 電子ファイルで請求書、領収書をやり取りした際に、今までは紙に印刷したものを原本としたが、今後は電子ファイルが原本となる。
  2. 送受信した電子ファイルを、取り出しやすい方法で保存していき、改竄しにくい管理運用を行うこと。

 最近は、光熱水費の領収書や備品やサービス購入時の請求書も、電子ファイルでくる頻度が増えてきており、なんとか対応を講じておく必要がある。

 一方、行政の要件としては、ファイルサーバーを用意し、ファイル名に日付、取引先、金額をつけることで対応してもよいとのことであった。ところが、文書を取り出す際に、日付は期間指定で探すことが多く、取引先は記載表記の揺れが入ると探すのが難しくなり、金額はおおよその金額帯で絞り込んでいく。このため、ファイル名で対応する方法はあとで確認が必要になった時の利便性を大きく損なう可能性があると思われる。

対応方法


以上を踏まえて、今回は比較的簡単な方法で対応が準備できたので、以下に記載する。
1.クラウド上にWebデータベースを用意する。(オープンソースのExmentを採用)
2.入力日、取引先、区分(送付、受領)、種別(請求書、領収書)、文書日付、添付ファイル、記録者、訂正者をフィールドとしたカスタムテーブルを用意する。
3.関係部署でWebサービスをシェアし運用する。

Exmentについて:


 Exmentは、Excelに記録するような比較的シンプルなリストを、複数で共有しながら作業するのに向いており、PDFなどのファイルもレコード単位で保持することが可能で、日付や数値のデータは範囲指定で検索が出来るので、今回の案件には非常にフィットさせやすかった。
 また、データの改変についても、レコード単位で世代管理でき、意図的に改竄しにくい作りになっているため、運用面でもかなり安心できる。
 さらに、オープンソースで構築が比較的簡単である。
 以上の特徴が決め手となって今回採用した。

 Exmentを利用する際の留意点としては、最新のMySQLにはインストールできないので、MariaDBを使用する必要がある。
 また、自分でバックアップを取るなどの保守作業を行うか、外部に委託をする必要があるなど、保守への取り組みを考えておく必要がある。

 ということで、急に猶予期間ができて拍子抜けになったけれど、すでに準備は終わっているので、予定通り運用に入る次第。今回は検討から準備まで1カ月ほどでできた。

導入コスト:

Amazon Web Service Lightsail 10USD/月
Exment : オープンソース (無料)
MariaDB: オープンソース (無料)
システム構築時間: 約3日
プレ運用~本稼働1か月

コメントを残す